スマホなら一瞬で撮れる写真。けれど、現存する最古のカメラ写真は、何時間も光を当て続けて作られた。写っているのは、人物でも名所でもない。フランスの発明家ニセフォール・ニエプスが、自宅の窓から見た建物や周囲の景色だ。
撮影は1826年か1827年ごろ。ニエプスは金属板に光で性質が変わるアスファルト由来の物質を塗り、カメラに入れて外の景色を写した。光が当たった部分が固まり、残りを洗い流すことで像が残る。これが「ヘリオグラフィー」という技法だった。
露光時間はかつて約8時間と説明されたが、後の研究では数日かかった可能性も指摘されている。正確な長さは確定していない。それでも、窓の外のありふれた景色を消えない画像として残したことは、写真の歴史を変える大きな一歩だった。