「絶対にあの人だった」。そう強く言い切る目撃者がいたら、証言は正確だと感じるかもしれない。しかし、人間の記憶は録画データのように固定されたものではなく、時間の経過や周囲からの情報によって影響を受ける。

米国科学アカデミーなどがまとめた2014年の報告書は、裁判時点での自信の強さだけでは正確さを十分に判断できないと指摘した。一方で、最初に犯人を識別した瞬間の自信には、条件によって一定の情報価値がある可能性も示している。

重要なのは「自信があるか」だけでなく、いつ、どんな手続きで、その言葉が引き出されたか。記憶を正しく扱うには、証言が生まれた経緯にも目を向ける必要がある。