2026年のノーベル物理学賞は、南極の氷を宇宙の観測装置に変えた研究に贈られた。その名は「IceCube(アイスキューブ)」。受賞者フランシス・ハルゼンが実現を進めた、少し変わった望遠鏡だ。
狙うのは「ニュートリノ」という小さな粒子。電気を帯びず、物質とめったに反応しないため、遠い宇宙から地球へ届くものもある。ごくまれに氷の中で反応すると、生まれた別の粒子が「チェレンコフ光」と呼ばれる光を放つ。
南極の地下約1,450〜2,450メートルに埋められた5,000個以上のセンサーが、その一瞬の光を記録する。光の広がり方から粒子の方向やエネルギーを推定できる。氷そのものを使って宇宙を「見る」という発想が、天文学に新しい目を加えた。